CFOの年収はいくら?──企業規模・年齢別の実態と、年収を決める4つの要素

CFOの年収はいくら?──企業規模・年齢別の実態と、年収を決める4つの要素

「CFOになれば、年収はいくらになるのか」

財務や経理の仕事を10年以上続けていると、一度は気になるテーマではないでしょうか。

特に30代後半から40代になると、転職エージェントから「CFO候補」「管理本部長」「経理財務部長」といったポジションを紹介される機会も増えてきます。

現在の年収が650万円だとして、提示されたCFOポジションが900万円なら高いのか。
それとも1,200万円を狙えるのか。
いざ自分のことになると、判断には揺れが生じます。

結論からいえば、CFOの年収を一つの数字で表すのは難しいです。

求人市場を見ると、CFO・CFO候補では年収1,000万円前後から1,500万円、案件によっては2,000万円程度まで提示されるケースがあります。
一方で、会社の規模やCFOという肩書きが意味する仕事の範囲によって、報酬には大きな差が生まれます。

ただ、CFOへの転職を考えるとき、重要なのは「CFOの平均年収はいくらか」だけではありません。

あなたが何を任され、その会社の経営にどこまで関与するのか。
自分の市場価値を考えるなら、まずここを構造化する必要があります。

CFOの年収に大きな幅がある理由

CFOは、仕事内容の境界線が非常に曖昧な役職です。

同じ「CFO」という肩書きでも、実際の仕事が経理部長に近い会社もあれば、資金調達、資本政策、M&A、IPO、IR、事業計画まで担当する会社もあります。

つまり、肩書きだけを見ても、年収が妥当かどうかまでは分かりません。

たとえば、次の2人がいたとします。

  • Aさん:従業員50人の会社で、決算・資金繰り・銀行対応を統括するCFO
  • Bさん:IPO準備企業で、資本政策・資金調達・証券会社対応・投資家対応まで担当するCFO

どちらも肩書きはCFOです。

しかし、会社から求められている役割と責任はかなり違います。
当然、その違いは報酬にも表れます。

企業規模だけで年収は決まらない

一般的には、会社の規模が大きくなるほど、管理する金額や組織も大きくなります。

ただし、CFOの場合は「大企業だから高い、小企業だから低い」と単純には整理できません。

特にスタートアップやIPO準備企業では、従業員数が100人未満でもCFO候補に1,000万円以上を提示する求人があります。

会社の現在の規模だけではなく、これからCFOに何を任せるのかが報酬に影響するからです。

資金調達、IPO、M&A、ガバナンス構築などを同時に任せるのであれば、求められる専門性も変わってきます。

会社の売上や従業員数だけを見るのではなく、

「この会社はCFOに何を解決してほしいのか」

ここまで確認して、初めて年収の数字に意味が出てきます。

CFOの年収はどのくらいなのか

CFOだけを対象にした公的な年収統計は限られています。

そのため、「日本のCFOの平均年収は○○万円」「中央値は○○万円」と一つの数字で示す場合は、そのデータが何を対象にしているのかを確認する必要があります。

そこで、CFOの報酬水準を考える一つの材料として、実際に掲載されている求人を見てみます。

2026年に確認できるCFO・CFO候補求人には、たとえば次のような募集があります。

  • CFO候補・管理本部長:1,000万〜1,500万円
  • IPO準備企業のCFO候補:1,000万〜2,000万円
  • IPO準備企業の管理本部長・将来CFO候補:1,000万〜1,200万円
  • 経理財務部長候補:1,000万〜1,500万円

ここで注意したいのは、これらがCFO全体の平均値ではないことです。

ハイクラス求人市場に掲載されている一部の募集事例なので、「CFOの平均年収は1,000万円以上」と結論づけることはできません。

一方で、「CFOクラスの人材に企業がいくら払おうとしているのか」を考える比較材料にはなります。

CFO直下の経営企画・IRポジションで650万〜1,000万円、経理財務マネージャー候補で800万〜1,000万円といった求人もあります。

こうして並べてみると、CFOという肩書きそのものより、担当する経営課題によって報酬が変わる構造が見えてきます。

年齢別のCFO年収はどう考えるべきか

「40歳ならCFOとして年収○○万円」といった年齢別の相場も、単純には決められません。

CFOは一般社員のように、年齢とともに給与テーブルが上昇していく職種とは少し性格が異なります。

たとえば38歳でも、IPO、資金調達、IR、M&Aなどの経験を持っていれば、40代後半の経理部長より高い報酬を提示されることがあります。

反対に45歳で経理経験が20年あっても、月次・年次決算を中心とした経験であれば、その20年間がそのままCFOとしての評価になるわけではありません。

そのため、CFOへの転職で見るべきなのは、

「38歳だからいくら」

ではなく、

「38歳までに何を経験してきたか」

です。

年齢だけでは、自分の市場価値は見えてきません。

CFOの年収を決める4つの要素

では、自分のCFOとしての市場価値はどのように考えればいいのでしょうか。

少なくとも、次の4つに分けると整理しやすくなります。

1.企業のフェーズ

まず見たいのが会社のフェーズです。

同じ売上50億円の会社でも、安定経営している企業と3年後のIPOを目指している企業では、CFOに求められる仕事が違います。

たとえばIPO準備企業なら、

  • 資本政策
  • 監査法人対応
  • 証券会社対応
  • 内部統制
  • 開示体制
  • 予算管理
  • 資金調達

などが必要になります。

売上50億円という数字が同じでも、会社が抱えている経営課題は同じではありません。

だからこそ、会社の規模を見るだけではなく、今どのフェーズにいて、次にどこへ向かおうとしているのかを見る必要があります。

2.専門性

次が専門性です。

経理だけではなく、財務、資本政策、IPO、IR、M&Aなど、経営に近い専門領域をどれだけ持っているかが重要になります。

もちろん、決算を正確に締められる能力は重要です。

ただ、CFOとして1,000万円以上の報酬を求めるのであれば、「決算ができます」だけでは他の候補者との差が見えにくくなります。

企業が見ているのは、資格や経験年数だけではありません。

その経験を使って、自社が抱えている経営課題を解決できるかどうかです。

3.経営との距離

3つ目が経営との距離です。

財務経理の仕事では、同じ案件に関わっていても「作業を担当した人」と「意思決定に関与した人」では、市場からの見え方が変わります。

たとえば銀行から10億円を調達したケースを考えてみます。

「資料作成を担当しました」

と、

「CEOと資金調達方針を決め、銀行との条件交渉まで担当しました」

では、同じ10億円の資金調達でも経験の中身が違います。

CFOは数字を作るだけではなく、その数字を使って経営判断に関わる立場です。

ここが、経理・財務の専門職からCFOへ移る一つの境界線になります。

4.経験を説明する力

4つ目は「自分が何をしてきたか」を説明する力です。

実務能力が同じ2人でも、経験の伝え方によって企業側からの見え方は変わります。

たとえば、

「IPO準備を経験しました」

だけでは、何を担当したのかが分かりません。

これを、

「売上30億円・従業員150人の企業で、IPO準備開始から上場まで3年間、予算管理・内部統制・開示・監査法人対応を担当した」

と構造化すると、経験の中身が見えてきます。

さらに、

「上場後はIRと資金調達を担当し、○億円の資金調達を実行した」

まで説明できれば、企業側も採用後に任せられる仕事を想像しやすくなります。

能力を持っているだけでは、その価値は相手には見えません。

「何を経験し、何を任せられ、何を解決できるのか」まで言葉にすることで、初めて報酬交渉の材料になります。

年収650万円の38歳財務主任ならどう考えるか

ここで具体的に考えてみます。

あなたが38歳、中堅メーカーの財務部主任で、財務経験12年、現在の年収が650万円だとします。

転職エージェントから、

「中小企業のCFOポジションがあります」

と連絡が来ました。

ここで最初に「年収はいくらですか」と聞くこと自体は問題ありません。

ただ、提示額だけで転職の良し悪しを決めるのは少し早いです。

仮に年収900万円なら、現在より250万円、約38%のアップです。

年収だけを見れば、250万円アップは魅力的です。

しかし、経理・財務・人事・総務をすべて管掌し、IPO準備まで一人で担当する900万円と、財務戦略を中心に担当する900万円では意味が違います。

同じ900万円でも、何を背負うのかが違うからです。

年収だけを比較すると、ここで判断に揺れが生まれます。

そんなときは、一度数字から離れて、情報を構造化します。

確認したいのは、次のような項目です。

  • 売上高・従業員数
  • 管理部門の人数
  • CFOの管掌範囲
  • CEOとの役割分担
  • IPOの予定
  • 資金調達の予定
  • M&Aの有無
  • ストックオプションの有無
  • 入社後12カ月で求められる成果

ここまで確認すると、900万円という数字の意味が変わります。

「650万円から900万円になる転職」ではなく、「この仕事と責任に対して900万円が提示されている」と見られるようになります。

この状態まで情報を整理してから、条件の良し悪しを判断したいところです。

CFOへの転職では「肩書き」より経験を買う

CFOへの転職を考えるとき、もう一つ見ておきたいものがあります。

その会社に入ることで、3年後の市場価値がどう変わるかという点です。

たとえば年収900万円と1,000万円の求人があったとします。

年収だけで比較すれば、1,000万円の求人に目が向きます。

しかし、900万円の会社ではIPO、資金調達、IRを経験でき、1,000万円の会社では経理管理が中心だったとします。

すると、100万円という現在の年収差だけでは比較できなくなります。

3年間で何を経験できるのか。その経験を次の会社でも使えるのか。さらに、その経験に市場でどの程度の値段が付くのか。

現在の年収と同時に、次の市場価値まで見る必要があります。

CFOになるまでの具体的なキャリアについては、「CFOになるには?──資格・キャリアパスの現実」でも整理しています。CFOを目指している方は、あわせて確認してみてください。

CFOの年収より「何に値段が付いているか」を見る

CFOの年収を調べると、800万円、1,000万円、1,500万円、2,000万円とさまざまな数字が出てきます。

ただ、その数字を眺めているだけでは、自分の市場価値までは分かりません。

見るべきなのは、

「企業はCFOの何に対してお金を払っているのか」

という構造です。

IPOを実現する経験なのか。資金調達を任せられることなのか。経営管理体制をゼロから構築できることなのか。M&Aを実行できることなのか。

企業によって、求めているものは違います。

そして、あなた自身についても同じ問いを立てられます。

「自分の12年間の経験のうち、企業がお金を払いたいのはどこなのか」

ここまで整理できれば、「CFOの平均年収はいくらか」を検索する段階から、自分の市場価値を考える段階へ進めます。

年収は、自分の経験年数だけで決まるものではありません。

これまで積み上げてきた経験と判断を構造化し、それを必要としている会社に伝える。その結果として提示されるものの一つが年収です。

CFOへの転職を考えているなら、まず自分の経験を棚卸ししてみてください。

何年働いたかではなく、その期間に何を任され、どんな判断に関わり、何を解決してきたのか。

そこに、あなたの市場価値を考える材料があります。

運営者takebycのCFO・財務・経理領域での実務経験や、このサイトで扱っているテーマについては、プロフィールでも紹介しています。CFOとしてのキャリアを考える際の一つの比較材料としてご覧ください。

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